活用事例集
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高強度再生コラーゲン繊維
コラーゲンは細胞外マトリックスとして人間はもちろんのこと多くの動物に存在しています。開発した再生コラーゲン繊維は高強度のため編む・織ることが可能で、様々な形状のコラーゲン素材を作製できます。コラーゲンは生体材料であり、また形状の自由度が上がるため医用材料や、また皮膚に対する安全性から下着等の衣料への利用が期待できます。
原料の調製
本研究では再生コラーゲン繊維を湿式紡糸で作製しました。コラーゲンは三重螺旋構造を持った棒状の分子構造で、生体内では分子間架橋により水に不溶ですが架橋部分のみを切断することで水に可溶なコラーゲンを調製することができます。湿式紡糸にはこの可溶化コラーゲンを利用します。
高強度化の方法
湿式紡糸で繊維の強度を上げるには分子の配向度を上げる必要があります。本研究では2つの方法により再生コラーゲン繊維の配向度を上げることができました。一つは配向の妨げになる可溶化コラーゲンに含まれるオリゴマーコラーゲンを除去する、もう一つはコラーゲン繊維を延伸することです。 通常湿式紡糸では凝固浴中で吐出された糸を延伸して配向度を上げますが、可溶化コラーゲンの場合には切れてしまうため難しい。そこで吐出された可溶化コラーゲンを凝固浴に入れる前に延伸させる、図1に示したエアギャップ法を利用しました。この方法では約2倍の延伸が可能でした。また、オリゴマーコラーゲンを除去することにより、可溶化コラーゲンの濃度を20%以上まで高めることができました。高濃度化によりエアギャップ紡糸が可能になりました。
再生コラーゲン繊維の強度
従来法では、再生コラーゲン繊維の引張強度は300MPa以下でしたが、本方法では15%以上の可溶化コラーゲン濃度において1.5倍以上の延伸でナイロン並みの強度を得ることができました。そのため、編み機等で様々な形状のものを作製することができます。
図1 エアギャップ紡糸
図2 延伸倍率と引張強度(乾燥時)の関係
開発年度 | 平成24、26年度 |
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事業、研究名 | 材料技術(県単研究・共同研究) 平成24年度 県単研究 平成26年度 共同研究 |
お問合せ先 | 兵庫県立工業技術センター 皮革工業技術支援センター 原田 修 |