活用事例集
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扁平状セルロース微粒子(保有特許)を活用した化粧品
木材パルプ由来のセルロースを機械的粉砕処理することにより、扁平状といった従来にはない特異的な形状の微粒子が得られることを見出しました。この微粒子を活用することによって、従来の無機系微粒子を配合したものに比べ、オイルリッチで使用感が良く、隠ぺい性に優れた化粧品(ファンデーション)を開発しました。
扁平状セルロース微粒子の形状
開発の背景
近年、地球温暖化や化石資源の枯渇等が問題となってきています。このような問題を解決するための方策の一つとして、化石資源から持続的再生産が可能なバイオマス資源への転換が試みられています。
そこで、当センターではバイオマスの有効利用の一環として、放置竹林の竹の利活用に関する研究や扁平状粒子・ナノファイバーといった特異形状セルロースに関する技術開発に取り組んできました。セルロースは、地球上に最も豊富に存在する再生可能なバイオマス資源であり、持続型社会構築のためのキーマテリアルとして注目されていることから、セルロースの有効利用法の一つとして扁平状セルロース微粒子を作製し、ファンデーションとして製品化を図りました。
扁平状セルロース微粒子の作製方法
木材パルプを原料とした粉末セルロースに脂肪酸等の特定の添加剤を粉砕助剤として所定量混合し、その混合物を機械的に粉砕することによって扁平状の新規セルロース微粒子が得られました(特許第3787598号)。その際、添加する粉砕助剤の種類を変えることによって扁平度(粒子径/厚み)が大きく異なる微粒子を作製することができました。また、添加した粉砕助剤が粒子作製過程で表面処理剤としても機能し、表面特性の異なる微粒子が得られることも大きな特徴です。
化粧品(ファンデーション)への応用
開発した微粒子は、吸水性・吸油性に優れるといったセルロース自体のもつ特性と、扁平状であるといった特異的な形状を併せもつことから、それらの特徴を活かした用途として化粧品への配合について検討しました。化粧品(ファンデーション)を試作して官能評価を行った結果、従来の無機系微粒子を配合したものに比べ、オイルリッチで使用感が良く、隠ぺい性や化粧もちに優れた化粧品ができることが分かりました。
この微粒子は、従来の無機系微粒子の一部を置き換える形で化粧品分野での利用が広がり、すでに4品目のファンデーションに採用され、利用者から好評を博しています。
扁平状セルロース微粒子を活用した化粧品
開発年度 | 平成21年度 |
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事業、研究名 | 材料技術(研究成果) 平成21年度 シーズ発掘試験等 |
お問合せ先 | 兵庫県立工業技術センター 材料技術部 長谷 朝博 |