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製革準備工程における微粒子消石灰の利用技術

背景、目的

 皮革の製造工程では、最初に準備工程として原料皮の水戻しや脱毛が行われます。脱毛工程では、脱毛の促進と皮の軟化のために消石灰が使用されますが、排水に大量の汚泥を含むために、汚泥の減量化が重要な課題になっています。排水汚泥には、使用されずに排出された過剰の消石灰が多く含まれていることから、表面積の大きい微粒子の消石灰に転換することによりカルシウムの利用率の向上と汚泥の減量化が期待できます。そこで、微粒子消石灰の導入を検討しました。

成果、製品化状況

 汚泥の減量化の達成とともに革の品質を低下させないことが重要ですので、消石灰使用量の削減による革品質への影響と汚泥の削減効果を検討しました。その結果、図に見られるように消石灰の使用量を半分にしても皮へのカルシウムの吸着量はほとんど変わりなく、汚泥量はJIS特号消石灰の場合の50~70%に削減でき、革の品質も銀面が白く柔らかくなるなどの好結果が得られました。
 開発後5年が経過し、革の風合いの向上効果が理解されて、かなり普及が進んでいることが微粒子消石灰の売り上げ量の増加からうかがわれます。脱毛・分割の専門企業、馬革製造企業、牛革製造の主要企業など、いずれも当所で開発した基本技術を社内で検討・実用化したと考えられます。


脱毛皮中のカルシウムの吸着量
皮中のカルシウム含有量 
G:銀面層、M:中心層、F:肉面層
皮試料を三層に分割し、乾燥試料中のカルシウムを分析した。
脱毛・石灰漬け浴の消石灰濃度 
コントロール:JIS特号消石灰4%
実験1、2、3:微粒子消石灰それぞれ2、1.5、1%
なお肉面層のコントロールの数値が突出しているのは表面に付着したカルシウムを含むためと考えられます。

開発年度 平成13年度
事業、研究名 技術アドバイザー事業
お問合せ先 兵庫県立工業技術センター
隅田 卓、松本 誠、角田 和成