活用事例集
活用事例集一覧へ戻る
磁界励起型イオンプレーティング装置を用いた高品質硬質薄膜
磁界励起型イオンプレーティング装置は、密着性の良い立方晶窒化ホウ素(c-BN)膜を、高い成膜速度で数μm程度までコーティングできるPVD(物理蒸着)装置です。この装置を用いて高品質の窒化物、酸化物、炭化物複合薄膜を開発しました。
AIH-16110SB 装置外観図
装置の特徴
AIH-16110SBは機械応用(工具、金型)に特化した装置です。基板温度300~400℃で、金属、セラミックス材料にコーティングが可能です。以下の特徴を持っています。
-
- c-BN膜の成膜速度は0.7μm/hと高速です。
- 絶縁性の薄膜を工具のコーティングに利用できる強度で成膜することができます。
- 成膜温度(300℃)でイオン窒化処理が可能で、続けて硬質膜の成膜を行うことができます。
- 2元同時成膜にも対応可能です。
内部機構概略図
開発した高品質硬質薄膜
平成23~24年度の兵庫県COEプラグラム推進事業において、本装置を用いて成膜したコーティング膜のアルミニウムダイカストへの応用を検討しました。
BN 膜は750℃のアルミニウム(ADC12)溶湯に対して腐食(溶損)されない特徴を持っていることが確認されています。このBN 膜の耐久性を検討する目的で、SKD61 の丸棒にBN/SiC またはSiC/CrN をコーティングし、大気中で300⇔700℃の間を繰り返し加熱・冷却する熱衝撃負荷試験を行いました。その結果、BN/SiC膜は150回の耐久性が確認され、さらに、SiC/CrN膜では1000回の熱負荷を経ても剥離や酸化物の発生は見られませんでした。
中間層として導入したSiC/CrN 膜は、特に、耐熱・耐酸化性に優れるコーティング膜であることが確認されました。
本装置で成膜したSiC/CrN 膜は、熱衝撃負荷試験による剥離や酸化生成物の発生は見られません。
開発年度 | 平成23〜24年度、平成26年度 |
---|---|
事業、研究名 | 材料技術(共同研究) 平成23~24年度 兵庫県COEプラグラム推進事業 平成26年度 共同研究 |
お問合せ先 | ■神港精機株式会社 装置事業部 営業部 神戸市中央区西町35番地 三井神戸ビル4F Tel.078-332-3400 http://www.shinko-seiki.com/ |
■兵庫県立工業技術センター 材料・分析技術部 山下 満 |