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革の血筋低減による高品質製品
開発の背景、目的
製品革の品質を下げる要因の一つとして、銀面に発生する血筋の問題があります。一般に、血筋は血管周囲の線維の密度と走行の不連続によるものであり、牛などの品種、栄養状態、原皮の鮮度不良などが関係するといわれています。そこで、我々は平成14年度の小規模事業活性化推進委託事業で、成牛皮を用いた製革工程における再なめし工程の新規改良により、製品革の血筋を低減する技術および製品を開発しました.
血筋のある成牛皮
血筋のあるウェットブルー
開発の結果、製品化情報
牛皮には北米産ステア、国内産の石灰裸皮を用い、クロムなめし後のウエットブルーをシェービングし、下記の処方で再なめしを行い、染色・加脂後、ステーキングおよびアイロン処理を施します。
(処方)1. 標準処方
2. クロム含有合成タンニン、タンパク質系充填剤
3.グルタルアルデヒド、ウレタン系樹脂
4.アクリル系樹脂
5.植物タンニン、合成タンニン
この方法の特徴は,樹脂等で革自身を膨張させながら血筋を消滅、軽減させるものであり、処方 2、3、5は血筋の低減効果が認められました。特に、処方 3は柔らかさ、処方5 は弾力感などの風合いが得られています。今回得られた革の特性は、衣料、鞄などの革製品に適しており、技術指導等による普及活動や、本事業の技術講習会、日本皮革技術協会の研究発表会において発表し、好評を得ております。
血筋のある製品革(処方1)
血筋を低減した製品革(処方3)
開発年度 |
平成14年度 |
事業、研究名 |
小規模事業活性化推進委託事業 |
お問合せ先 |
共同研究企業:㈱宮崎進々堂 |
兵庫県立工業技術センター 杉本 太、安藤 博美、石川 齊 |