活用事例集
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新規高機能ペルオキシダーゼ
過酸化脂肪酸あるいは過酸化脂質は、炎症などの疾患や老化のバイオマーカーとして知られています。我々は、特定の条件下において過酸化水素を基質とせず、過酸化脂肪酸に特異的な呈色反応を触媒するユニークなペルオキシダーゼを細菌(Bacillus subtilisおよびBacillus licheniformis)から単離しました。本酵素を用いた手法により従来法よりも特異的かつ簡便に様々な試料中の過酸化脂肪酸の定量が期待できます。また、この酵素活性は強力な抗酸化反応の一種であることや、可食な微生物由来であることから、食品や化粧品に応用することで、これらに機能を付与できる可能性があります。
過酸化脂肪酸に特異的な呈色反応
過酸化脂肪酸を特異的に検出
従来法では直接的な判別が難しかった過酸化水素と過酸化脂肪酸を判別(過酸化脂肪酸に特異的に反応)できます。
従来法と比較した新規酵素による検出法の特徴
一般的な酸化還元酵素が耐えられないような条件での使用が可能
典型的なヘムやペルオキシダーゼが失活するような高濃度の過酸化水素存在下でも失活しないため、あえて高濃度の過酸化水素で試料を前処理することで、測定試料中の還元物質(グルタチオン、アスコルビン酸など)を不活化し、過酸化脂肪酸定量への影響を最小限にすることが可能です。
新規酵素(TKS3)のその他の特徴
様々な用途に展開が可能
テトラメチルベンジジン(TMB)などのフェノール類の呈色反応用試薬を用いることで、右図のように過酸化脂肪酸に特異的な検出試薬として応用することが可能です。また、慣習的に安全であることがわかっている納豆菌からも得ることができるため、マイコトキシンやエンドトキシン、アレルゲンなどの安全性に関する懸念が少ない製品の開発が期待できます。そのため、これら検出試薬としての用途の他、食品由来の安全性を活かした、機能性食品(抗酸化能付与)としての開発など、幅広い用途での開発が見込まれます。
実際に新規酵素とTMBで呈色した検出試験例
開発年度 | |
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事業、研究名 | バイオ技術 |
公開情報 | 特願 2018-068713 新規ペルオキシダーゼ |
お問合せ先 | ■立命館大学研究部 BKCリサーチオフィス 〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1 防災システムリサーチセンター3F Tel.077-561-2802(担当:内藤) |
■兵庫県立工業技術センター 材料・分析技術部 今井 岳志 |
過酸化脂質、抗酸化、酵素反応、検出試薬、納豆菌